旋盤(旋削)加工とフライス加工の違いは、金属加工初心者の多くがつまづくところではないでしょうか。
私は、加工物を回転させるのが旋盤加工、刃物を回転させるのがフライス加工と習いました。しかし、なかなかピンときませんでした。
旋盤加工とフライス加工の違い、旋盤とフライス盤とはどのような工作機械かをわかりやすくまとめてみました。
旋盤加工とフライス加工のイメージとは
まず、旋盤加工とフライス加工の簡単な說明を見てみます。
「旋削加工」と「旋盤加工」という言葉は、現場ではほぼ同じ意味で使われている印象です。
動画と一緒に見ると、イメージしやすいと思います。
さらに簡単なイメージで覚えるために、Twitterで集まったいろいろな「たとえ」を集めてみました。
諸先輩方が双方の違いを覚えるときに使った「たとえ」も見てみると、イメージがつかみやすいかもしれません。
旋削=陶芸の「ろくろ」
私は、旋削のイメージを「ろくろ」っぽいと覚えました。伝統工芸のろくろ細工です。旋盤で材料が回る様子が、ろくろに似ていると思ったからです。
しかし、なんと!旋盤とろくろは英語では同じ呼び方だと教えてもらいました。
実際に「Lathe」と検索すると、旋盤に関する說明がヒットしました。
A lathe (/leɪð/) is a machine tool that rotates a workpiece about an axis of rotation to perform various operations such as cutting, sanding, knurling, drilling, deformation, facing, and turning, with tools that are applied to the workpiece to create an object with symmetry about that axis.
Wikipedia「Lathe」
回転する粘土に手を入れるろくろ陶芸と、回転する材料に刃を入れる旋削加工は、材料の形を変える原理は同じです。ろくろでできることは旋盤加工でもできる、と思うと覚えやすそうです。
旋削=ちくわ、フライス加工=豆腐
もうひとつ、面白いたとえを紹介します。旋盤加工を「ちくわ」、フライス加工を「豆腐」にたとえる例です。
旋盤加工とフライス加工に向いている形を、わかりやすく食べ物にたとえています。かわいいです。
旋盤は材料が回転するので、ちくわのような棒状の加工が得意です。穴の空いていない棒に穴を開けて、ちくわの形にすることもできます。逆に、豆腐のように四角い加工は不得意です。
フライス加工は、固定した材料に刃を当てて削るので、豆腐のように面のある加工が得意です。ちくわを四角くすることもできます。対して、ちくわのような丸い形状を作るのは苦手です。
このたとえ、もっと早く知りたかった~!
治具次第では不得意な加工もできる
ここまで説明した通り、旋盤は円筒加工、フライス加工は面加工が得意です。しかし、それぞれ不得意に思われる加工も、治具等の工夫次第で加工できるそうです。
たとえば、冒頭イラストの下部では「円筒状の材料の側面に穴を開けるのはフライス」と書いています。しかし、旋盤でもうまくチャックに固定すれば、側面に穴を開けられます。
旋盤しか持っていない工場さんでも、相談すればフライスっぽい加工ができるかもしれません。逆も然りです。製作相談や見積依頼をする際は、先入観を持たずに尋ねてみても良いかもしれません。
あまり段取りの手間が多いと、外注さんに頼むかもしれませんが……
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