板金加工で耳にする「シャー切り」「シャー切断」。これらはシャーリング加工のことを指します。
シャーリングマシンという機械で、金属の板をせん断(漢字で書くと「剪断」)する加工です。
日常生活では馴染みの薄い「せん断」とは何か、シャーリング加工の強みと弱みは何か。文系の私でもわかるようにまとめてみました。
シャーリング加工=せん断とは
シャーリングマシンは「せん断機」とも呼ばれています。つまり、せん断するための機械ということです。
「せん断」という言葉を初めて聞いた私は、とりあえず「せん断とは」とググりました。しかし、文系の私には難しいと感じる説明が多い印象でした。理解するのに少し時間がかかった記憶があります。
せん断(剪断[1]、せんだん)あるいはシア (英語: shear)とは、はさみなどを使って挟み切るように、物体や流体の内部の任意の面に関して面に平行方向に力が作用することである。
Wikipedia「せん断」
任意の面に…平行方向の力が作用…?
まず大まかなイメージを掴みたい人は、一旦下記のように覚えてもよいと思います。
- せん断=切断の一つ
- はさみや裁断機と同じ原理
せん断とは、切断加工のひとつです。紙をはさみで切るように、板金をシャーリングマシンでカットできます。
こちらの動画では、金属の板をシャー切断するシーンがスローで見られます。まるで裁断機で厚紙をカットするようです。
シャーリングマシンは上下に刃が付いています。下刃は機械に固定されていて、上刃が真下に降りてくる仕組みです。
「はさみ」に例えられることが多いけど、「ギロチン」の方が形は近いかも……
クリアランス調整などの工夫も必要
せん断の仕組み自体は、一度理解すればシンプルでわかりやすいです。しかし、シャーリングマシンできれいに板を切るには、作業者の工夫が必要みたいです。
たとえば、上刃と下刃にはわずかに隙間を作る必要があり、その隙間は板厚などを考慮して調整しなければなりません。この隙間をクリアランスと呼びます。
ここでも、はさみをイメージするとわかりやすいと思います。上下の刃の隙間がほとんどないと、はさみの両刃が重なって「チョキン」と鳴るまでにかなり力が要ります。刃も痛みやすくなりそうです。逆に刃の隙間が空きすぎていると、きれいに切れません。
板金をきれいにシャー切断するためにも、クリアランス調整などの設定が必要です。
シャーリングマシンの強み
シャーリングマシンの強みは、2点あります。
- すばやく直線に切断できる
- さまざまな板厚に対応可能
すばやく直線に切断できる
シャーリング加工の一番のメリットは、板金をスピーディーに直線で切断できることです。
金属加工屋さんの加工賃は、作業時間が短いほど安く抑えやすくなります。なぜなら、作業する時間を短縮すると、人件費を抑えられるからです。
よって、シャーリング加工は直線の板金モノを安く作るのに適しています。
私も、レーザー屋さんに見積依頼をしたら「これだけ簡単なやつならシャー切りの方が安いで」と言われたことがあります。
さまざまな板厚に対応可能
シャーリングマシンには、0.1mmのような薄い板金を切るのが得意なものもあれば、10mmを超える厚板をせん断できるパワー型のものもあります。
工場が所持している機械によって対応できる板厚は変わってきます。どこかにシャーリング加工をお願いしたいときは、企業ホームページの設備一覧を確認すると対応可能な板厚がわかるかもしれません。
外注さんが対応できるかもしれないので、とりあえず相談してみても全然よいと思います。
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