タレパンとは、タレットパンチプレスの略称です。専用金型がいらない・小ロットのプレス品にも強い、一般的なプレスのイメージとは少し異なる加工方法です。
でも、金型を使わない小ロットの板金加工といえば、レーザー加工も有名ですよね。
タレパンとはどのような加工か、レーザー加工との違いはなにかを調べてみました。
ちなみに私は、「タレパン」は金属加工用語のなかで最もカワイイ単語だと思っています。
タレットパンチプレスの特徴
タレパンの特徴は、3つあります。
- 専用金型が不要
- 小ロット製造もできる
- 変わった形(異形穴)も抜ける
専用金型が不要
一般的なプレス加工は専用金型が必要ですが、タレットパンチプレスでは専用金型を位置から作る必要がありません。
その理由は、タレットパンチプレス機のなかにあるたくさんの汎用金型。丸い金型や四角い金型、1~2mmの小さいものから50mmの大きめなものまで、多種多様な金型が機械に内蔵されています。
それらを使い分けて、さまざまな形にくり抜くという仕組みです。
タレパンはNC装置で動くので、金型の使い分けは機械が行います。プログラミングしたとおりに汎用金型を自動でチョイスしてくれます。
小ロット製造もできる
タレットパンチプレスは、金型費という初期費用を抑えられることから、少量のプレス加工品にも向いています。
プレス用の専用金型は、1つ作るだけでも数十~数百万円かかることもある高級品です。量産品であれば金型費もすぐにペイできますが、製造ロットが少ないと割高になります。
タレパンは小ロット対応も可能ですが、大ロットの量産にも使えます。材料の自動取出機と自動供給機を使えば、作業者が目を離すあいだもプレス品を作り続けることが可能です。
ロット数は多いけど、初期費用は抑えたいお客さんにも提案しやすいかも!
変わった形(異形穴)も抜ける
タレットパンチプレスでは、内蔵されている汎用金型にはない形で抜く方法もあります。
お菓子の型抜きのように、抜きたい形に沿って連続した穴を打ち、くり抜く「ニブリング」という加工方法です。
ただし、ニブリング加工したあとの切断面は、なめらかではありません。連続して打った穴と穴の間が少し出っ張り、ガタついています。
切り取り線が入った紙を切ったときにガタガタするのと、原理は同じですね。
そのため、ニブリング加工をしたあとは、やすり等での仕上げ加工が必要です。
レーザー加工との違い
専用金型を使わず、小ロットにも強い板金加工といえば、レーザー加工も代表的です。タレットパンチプレスとレーザーの違いは、金属を切る仕組みと得意な板厚です。
タレパン | レーザー | |
切断する仕組み | せん断(一般的なプレスと同じ) | 金属を熱(レーザー光)で溶かす |
板厚 | 薄板に強い、厚板は苦手 | 厚板加工できる機械もあり |
タレットパンチプレスの仕組みは、はさみや裁断機と同じ「せん断」です。一方、レーザーは光熱で金属を溶かすようにして切っていきます。
レーザー光のほうがパワーはあるので、機械によっては厚板加工も可能です。ただし、熱に弱い材質は使えません。
タレットパンチプレスは加工できる材質は多い一方、厚板を打ち抜くほどのパワーはありません。板厚3mmまでくらいを目安とするケースが多いようです。
実際には3mm以上の板も加工できなくはないみたいですが…あまり無理をさせると金型寿命が短くなっちゃうかも?
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